ドローンは世界を変える、特にインターネットに繋がったドローンは。
今更かと思うが、高城剛の「空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか」を読んで、確かにドローンが世界を変えると思った。
自分がドローンを初めて飛ばして誰よりも早く墜落させたのは2013年のこと。
飛ばしたほうの話から。
自分が初めて飛ばした機種はパロットの ar drone 2.0。
たまたま YouTube の CM に流れてきて珍しく Amazon で衝動買いした。届いて早速 iPhone で操作してみたところ、これまでのラジコンヘリとは違った安定性、それと手元 に届く映像に驚いた。
この頃、ドローンにとても可能性を感じていた。
テッドの小型ドローンスピーチも見た。今で言うマイクロドローンが群れとして行動しているその様子は本当に未来そのものだった。
Amazon Prime Air 構想などもネットでは結構取り沙汰されていた 。
一方で首相官邸の一件とか、神社のお祭りのやつとか、そういったネガティブなドローン関係のニュースも増えていた。規制が増えていったのもこの頃。
でもその前に俺は一回、ドローンにフラれていた。
ar drone 2.0に続いて手に入れたドローンは DJI の大型機。ある日こいつを河川敷で飛ばしていた。このドローンには GPS、 それからフェールセーフの機能が付いていて、万一のプロポの電波が届かなくなってしまっても自動で離陸地点まで戻ってきてくれるという優れものだった。でも戻ってこなかった。
高度20 M ぐらいで水平飛行させていた DJI はおれのプロポの操作を振り切ってみるみるうちに小さくなっていった。 河川敷の向こうには建物だっていっぱいあるし、道路には車がいっぱい走ってる。 頭が真っ白になった。ちっさくなったDJIは川の向こうの林に隠れてすぐに見えなくなった。どこまで飛んでいったんだろう。すぐに車で探し回るが、どこを探していいかもわからない。最悪の事態ばかりが思い浮かぶ。夕方になって見つかった。少年野球チームが練習中のグランドの駐車場に墜落していた。ドローンはバラバラ。幸い奇跡的に人や物に被害がなかった。バラバラになった DJI を見て、空を飛ぶドローンの危険性はどんなに技術が進歩してもなんともならんと思った。思い出すと今でも背中に冷や汗をかく光景が鮮明に目に浮かぶ。被害があったら間違いなくニュースになっていたと思う。
これが2013年頃。これからしばらくはドローンを触ることはなくなった。反対にテレビでは、ドローンをよく見る機会が増えた。でも俺は、もうドローンを飛ばす気にはなれなかった。
そんな俺の考えを変えてくれた一冊が、高城剛の上述の本だ。
2016年出版。
なんと、パロット、DJI、3 D ROBOTICSの CEOにインタビューしていると言う。
この時期にこの内容、まさに世界の最先端を見ている人にだけ見えている世界があるのだと思った。
ちなみに、 本書の中で記されていた 3Dロボティクス VS DJI の戦いは、今では DJI が勝利を収めたことがはっきりしている。 3 Dロボティクスはドローンから撤退。3 D ROBOTICSの CEO クリスアンダーソンも DJI を賞賛している。
ごく短くしかなかったが、この本の中で非常に重要なコンセプトに出会った。
「モノのインターネットではなくインターネットのモノ化」
「Stand Alone Droneではなく Internet Connected Drone」
第4次産業革命と言う言葉をよく聞く。それと同じでインフラをベースにしたドローンだ。スマホと一緒で、ソフトウェアとネットワークのパワーを最大限使うためのハードウェアとして空飛ぶロボットを位置づけている。 言わば、各種サービスのプラットフォームとしてのドローンをインフラベースで作っていく。それにより可能性は無限に広がる。インフラをベースにドローンが飛行することができれば、圏外はなくなる。
Internet Connected Droneについて
・例えば沖縄で飛んでいるドローンの映像を、あらゆるインターネット端末から見れるようになる。
・あるいは東京のドローンコントロールセンターまで日本全国のドローンを自在に動かせる。複数のセンサードローンの撮ったあらゆるデータを、クラウド上の AI が自動で処理、抽出蓄積、加工。それを基に、アクチュエータードローンを群として AI が自動で運用する。
農業のケース
Stand Alone ドローンの場合、できることはせいぜい農薬散布ぐらい。
Internet Connected ドローンの場合、まずある田畑の上空をセンサードローンが撮影する。これをもとにクラウド上の AI がドローンから送られてくる画像を処理して必要なところに自動でアクチュエータードローンを飛ばして農薬を散布する。
さらに近傍の農地のデータを集約蓄積することでより効率的な栽培を AI が判定。
さらに広域で、A市北川では米ではなく野菜を、 南側では野菜ではなく果物を作るのが全体として最適と言ったことを分析。健全たい地域全体での生産性向上を行っていくことができる。
現実世界において、膨大なデータの取得と自動処理により今まででは考えられないような規模での全体最適化が可能となる。
ネットワークの力は凄まじい
スマホを機内モードにしてみるとよくわかる。地球上で最もパワフルなネットワークがインターネット。ドローンがインターネットに繋がってそのパワーを宿した時、間違いなく世界が変わる。